一人で不動産屋をやっていて、意外と時間を使っていた「FAXの確認」を自動化した話

記事タイトルとFAX自動仕分けを表したアイキャッチ画像 連絡・反響対応

「FAX、まだ使うの?」——不動産では、今も現役です

世の中では、FAXはすっかり過去の道具になりつつあります。仕事で触ったことのない世代も増えました。

でも、不動産業界では今も現役。物件情報のやりとり、買取や客付けの案内、家賃保証会社や工事業者との連絡まで、日常的にFAXが行き交っています。

オフィスの複合機(コピー機)
FAXは不動産では現役

地味に時間を取られるのは「確認」

私はFAXを紙に印刷せず、PDFにしてメールで受け取っています。机に紙が積み上がるのではなく、受信箱にPDFがたまっていくイメージです。

厄介なのは、件名だけでは中身が分からないこと。送信元が広告代行の番号だったり、件名がダミーの数字だったりして、開いてみないと「対応が要る通知か、ただの案内か」が判別できません。

この「1件ずつ開いて確かめる」ところに、地味に時間が溶けていきます。

だから、仕分けをAIに任せました

今は、届いたFAXを数時間おきにAI(Claude)が自動で4分類し、その一覧表がメールで届きます。要対応があるときだけ、スマホに通知が来ます。

FAX自動仕分けの全体像

ポイントは、全部を自動で片づけないこと。分類と要約まではAIに任せ、「どう動くか」の最終判断は必ず自分がします。

「要対応/お知らせ/情報/DM」の4つに振り分け

中身を読んで4つに振り分け

コツは、送信元の番号や見た目ではなく、必ず中身で判定すること。同じ広告代行の番号から、取引先の大事な通知が届くこともあるからです。

結果は、一覧表のメールで届く

PDFを開かなくても、表を見れば「今日どれに対応すればいいか」が分かります。

一覧表のメールで届く

実際に、こうやって動いています

これは、実際に自動で仕分けした結果の画面です(社名などは伏せています)。届いたFAXを読み取り、内容と判定を並べてくれます。

実際の仕分け結果

FAXが1枚も来ていない時間帯は、ムダに動かず「新着なし」で静かに終わります。

新着が無い時は静かに終了

「本当に効いているの?」——実データで見せます

体験談で終わらせないために、実際のログから数字を出します。

受信のペース

FAXは複合機(リコー IM C2510)からメールで届きます。直近1週間で32件、1日あたり平均4〜5件(土日を除く営業日ベースだと6件前後)。1件の確認は数分でも、積み上がると1日5〜10分。しかも「後回し」や「うっかり削除」も起きていました。

直近3か月の内訳(実データ)

直近3か月に届いたFAXは104件。1件ずつ中身を見て仕分けすると、次の内訳でした。

  • 要対応(対応しないと損害・不利益につながるもの)……10件
  • 情報=営業FAX(用地募集・買取・客付け依頼・リフォーム案内など)……54件
  • DM(純粋な広告)……40件

営業FAXとDMで大半を占めますが、見落とすと困る「要対応」も10件ありました。この10件を取りこぼさないことが、この仕組みのいちばんの狙いです。ちなみに、送信元の番号や社名から発信元を特定できたのは全体の約26%だけ。残りは件名にダミー番号(直近3か月の約6割)が入るなどして、番号だけでは判別できませんでした。

番号では仕分けできない、という壁

いちばんやっかいだったのが「送信元の番号だけでは仕分けできない」ことでした。あるフリーダイヤル(FAX広告の代行)経由では、DMも、取引先からの大事なFAXも、同じ番号で届きます。さらに、複合機が件名に付けるダミー番号(送信元を表さない)が、直近3ヶ月の約6割。結局、番号や社名で送信元を特定できるのは全体の約26%だけでした。だから「番号で機械的に振り分ける」のではなく、「中身をAIが読んで判定する」設計にしています。

過去分も、まとめて仕分け

導入のときに、過去3ヶ月分の104件を一括で棚卸ししました。内訳は、要対応が10件、情報(営業・商機になりうるもの)が54件、DM(純粋な広告)が40件。この結果を見ながら、運用しやすいように区分を整えています。

構築は実質1日、あとは微調整

仕組みの本体は、ほぼ1日で組み上がりました。AIに操作させているので、思ったより早く立ち上がります。残りの数日は「実行の頻度」や「通知の出し方」を、運用しながら調整しただけです。人が手を動かしたのは、メール連携の初期設定と、AIから確認を求められたときに答える部分が中心でした。

設計で頭を使った5つのところ

  • 添付PDFをAIにどう読ませるか(メールの連携だけでは中身が取り出せず、いったんクラウドストレージへ橋渡しした)
  • 届くPDFはスキャン画像でテキストが無いため、AIが画像そのものを読む方式にした
  • 番号では仕分けできない(前述)ので、中身で判定する設計にした
  • メール連携の接続アカウント選び(別のアカウントでは動かず、正しいアカウントに変えて解決)
  • 共有メールボックスはAIから書き込めないため、整理は連携(自動化)側で処理する

費用は「業務に合う周期」で最小化

定期チェックは最初「毎時」で動かしていましたが、トークン消費が多めでした。FAXは「3時間以内に気づければ十分」という業務なので、3時間ごとに変更。実行回数が3分の1になり、コストは約66%減。見落としゼロは保ったままです。

安全性にも配慮しています

安全に使う3つの線引き

ログイン(パスワード入力)はAIに任せず人がやる、渡すのは必要な範囲だけ、使うAIのデータ設定を確認する——この3つを線引きにしています。個人情報や取引先の情報を扱う仕事だからこそ、ここは大事にしています。

使うAIのデータの扱いも、私自身が定期的に確認しています。Claudeの個人向けプラン(Free / Pro / Max)は、既定ではチャットの内容をAIの学習に使いません。学習に使われるのは「モデルの改善」を自分でオンにしたときだけなので、そこがオフになっているかを確認しています。

こうした仕様やポリシーは変わっていくので、導入するときは公式のプライバシー情報を必ず自分の目で確認する——これがいちばんの安全対策だと思っています。

作り方は、追って手順書にまとめます

設定の具体的な手順(複合機の受信設定、クラウドへの橋渡し、AIへの指示文、通知の出し方)は、あらためて手順書として整理する予定です。まずは「番号ではなく中身で仕分ける」という考え方だけでも、参考にしてもらえたら嬉しいです。

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